司馬遼太郎「新選組血風録」

新選組血風録 新装版 (角川文庫)

新選組血風録 新装版 (角川文庫)

「御法度」を観た後に一度読んでいるので、2回目。以前は読むだけで四苦八苦だったけれど、今回はスムーズに読めた。今読むと、実はこれ、かなり娯楽小説。そして改めて面白さに驚く。15篇の短編、全てが鮮やかで個性が際立っている。新撰組といえばどうしても注目を浴びる人は限られるが、時に平隊士、あるいは間者、あるいは近藤派に暗殺された者など、メインとなる人物も多彩。
基本的に土方には夢を持ってしまうので、格好いい姿をイメージして読むのだけど、「前髪の惣三郎」「三条磧乱刃」限定でビートたけしになってしまうのが悲しいところか。「御法度」の沖田は明るさの中に得体の知れない怖さが感じられて結構好きなのだけど。