重松清「四十回のまばたき」

四十回のまばたき (幻冬舎文庫)

四十回のまばたき (幻冬舎文庫)

正直に言って面白くもないし、突き刺さりもしない。重松清らしい文章は端々にあるのだけど、何かが違う。滑らかに染みないというか、どこか鼻についたりしてしまう部分さえある。『冬眠』なんていうのもいまいち感情移入できないし、登場人物たちに現実感がない。登場人物たち(特にセイウチ)が、「わかるだろ」と話を進めていくけど、読んでいるこっちは何が言いたいのかはっきりしないしわかりにくいから置いてきぼりにされた気分です。
スタートラインに立つ前というのか、テーマを探りながら書いて、それを見つけたという感じなのかなと思ったりした。それが『家族』なのかなと。
藤田香織氏の解説がわかりやすかった。