オスカー・ブルニフィエ,クレマン・ドゥヴォー「こども哲学 よいこととわるいことって、なに?」

よいことと わるいことって、なに? (こども哲学)

よいことと わるいことって、なに? (こども哲学)

日本語監修の重松清による「おまけの話」目当てで読んだのですが、意外にも本自体が面白かった。哲学という言葉に身構えてしまうけれど、本当にごく身近なこと、身近ゆえにおとなになると目を向けることすらなくなってしまう疑問について書かれている。おとなが日常の自分を振り返るのにもいいかもしれない。私は名言集や成功の法則、みたいな本が、こうすればいいんだと押し付けられる感じがしてとても嫌いなのだけど、この本はそれとは違う。いくつも答えがあって、それに対していくつも反論がある。どれが正しいかは決まっていない。それがいい。
お目当ての「おまけの話」は、短い話の中に凝縮された痛みがすごい。多分誰しも一度は経験したような、そういう痛さ。こういうのを乗り越えていくんだよなあとしみじみするにはまだ成長し切れていない自分としては、少し目を背けたくもなりました。