青山七恵「ひとり日和」

ひとり日和

ひとり日和

主人公の現実味のなさに苛立つ。その気持ちがわかるからこそ、余計に苛々とする。近くにいるひとに優しくできなかったり、ひとが離れていくことに不安になったりするのはよくわかる。でも物語として、主人公にはもう一歩踏み込んで欲しい。気持ちをぶつける姿を見たい、と思う。結びつきができないのではなく、主人公が拒んでいるような気がする。
静かな空気感や丁寧な描写は好き。でも人物がもう少し厚くなればいいのになと思う。