都築響一「賃貸宇宙」

賃貸宇宙UNIVERSE for RENT〈上〉 (ちくま文庫)

賃貸宇宙UNIVERSE for RENT〈上〉 (ちくま文庫)

賃貸宇宙UNIVERSE for RENT〈下〉 (ちくま文庫)

賃貸宇宙UNIVERSE for RENT〈下〉 (ちくま文庫)

実際にひとが生活する部屋には、モデルルームのような整然とした美しさはないけれど圧倒的なパワーがあるのだと感じる。それなりに整理された部屋も、ほとんどごみ貯めと化した部屋も、物の多い部屋も少ない部屋も、そこに暮らすひとの生き様のようなものが滲み出てというか溢れている。
なんとなくずっと、部屋をきれいにしなきゃ、整然としてなきゃっていう強迫観念があったんだけど、この本を見てたら別にいいような気がしてきた。狭い部屋に多くのモノを、工夫して(あるいはもう詰め込むだけ詰め込んで)暮らしてるのがなんかいい。古ぼけた自分の部屋がすごく愛しくなってくる。あとお風呂場と台所も。