原田マハ、伊庭靖子「おいしい水」

おいしい水 (Coffee Books)

おいしい水 (Coffee Books)

装丁と挿絵に惹かれて読んでみたのだけど、こういうストレートな恋愛モノを読んだことがあまりないので新鮮だった。コーヒーブレイクのお供に、というスタンスで作られたシリーズ(だと思うのだけど、岩波書店の公式の紹介文が悪ふざけとしか思えない面白さなのでいまいち見えてこない)なのでさらりと読める。携帯電話もインターネットもない時代の、あの空気が懐かしくて心地いい。神戸という街や、カメラや、コーヒーの美味しい喫茶店や、かっこいい輸入雑貨と写真集を扱う店、とか。そういうベタなアイテムもいい。
少し残念なのは、主人公があこがれるナツコさんの魅力があまりきちんと描かれていなかったこと。主人公が「憧れている。かっこいい」と言うだけなので、具体的にどうかっこいいかわからない。そう言ってしまうときりがないので、ページ数が膨れ上がるだろうから仕方ないでしょうが。
挿絵は最初写真だと思い込んでました。透明感があってきれい。