「劔岳 点の記」

すごく期待していて、期待が大きすぎて、肩透かしを食らってしまった。決して悪い映画ではない。でも何かが物足りないような気がしてしまった。多分私が期待したのが人間ドラマの部分で、でもドラマの面はかなり淡々としていたのでそのせいか。スクリーンに映る大自然は確かに美しいのだけど、どれだけ美しくても重要でも、あくまでも背景だと思うのです。もっとひとの生き様を濃く描いて欲しかった。日本山岳会の描き方なんかもあれじゃあ単なる厭なひとで、それが流れの都合上最後にいいひとになっただけに見えてしまう。でもそれではあのラストの手旗信号は生きない。測量隊の中でひとり突っ張っていた信の心情の変化や成長ももう少し丁寧に描いて欲しかった。浅野忠信宮崎あおいがいまいち夫婦に見えない。香川照之の演技はすごい。実はこれまで改めて見たことがなかったので、こんなに素晴らしい演技をする俳優さんとは知りませんでした。