瀬尾まいこ「温室デイズ」
- 作者: 瀬尾まいこ
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2006/07
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 31回
- この商品を含むブログ (119件) を見る
とても好きだなと思ったのは、みちると父親の関係。昔かたぎで古くさい父親を、みちるはとても信頼しているのがわかります。その歳特有の親への疎ましさも抱えつつ、彼女は父親の思いをきちんと受け止めています。中学生くらいの子が主人公のお話ではこれもやっぱり珍しいのではないかと思います。あくまで父親として、友達親子ではないのもいいですね。
登場人物それぞれの思いがぶつかる花壇のシーンはかなり息を呑みました。花壇の無事を願うみちる、そのみちるの思いを受けてナイフを持った吉川、行き場のない怒りと不安を抱える瞬。みちるのために瞬を変えようとした優子。それぞれにいろいろな思いや事情を抱えていても、目に見えるのは行動の部分だけなので、ひとがわかりあうことや、ましてひとを変えることは難しいのだと思い知らされる場面でした。それでもなにかが、という終わりは明るくてよかったと思います。