「世界はときどき美しい」

世界はときどき美しい [DVD]

世界はときどき美しい [DVD]

ぼんやりと霞んだ、白い光に満ちた風景だとか、光を反射するグラスだとか、細々とした雑貨や本だとか、作品イメージに使われている文字やイラストだとか、そういうのが全部自分の好みなのに、なぜか映画そのものに魅力を感じられなかった。
上記のそういったもの、きれいなものやかわいいもの、透明感のあるものと、哲学的なものを寄せて集めたという空気がどうにも押し付けがましい。「孤独」だとか「座標軸」だとか、言葉だけがやけに自己主張をしている。映画なら映像や演技や、そういうものを使って表現して欲しい。書き言葉と話し言葉は違う。書き言葉では不自然じゃない言葉が、口にすると途端に嘘くさくなる。所々に引用される哲学や知識が、いかにも借り物。
詩的な映画と、詩を被せることとは違うのではないかと。
それでもまあ可もなく不可もなく…と思っていたけど、最後の話で主人公の兄が飲酒運転をしているようで驚いた。(母親が「そんなに飲んで大丈夫」というようなことを言っていたから、あの時点で恐らく飲んでいると思われる)飲酒運転を撲滅しようと言っているこのご時勢に不謹慎。ご時勢じゃなくても不謹慎。