「空の境界 第4章 伽藍の洞」

数年前に本当に偶然、原作を読んでいた。当時TYPE-MOONなんて知らなかったし、ついでに中田譲治の名前も知らなかったけれど、バイトの先輩が面白いからと貸してくれた。実際読んでみると面白いとか面白くないとか以前の問題で文章が難解すぎて読めなかった(意地で最後まで読んだけど話の1割も理解していなかったと思う)。
まあそのときの結論として、私にこの作家の話は合わないんだな、ということで落ち着いたのだけど、今回声を目当てに劇場に足を運んでみたら意外と楽しめてしまったのでびっくり。
考えてみたら脚本の段階で情報がある程度取捨されているので、あの文章を読むよりは遥かに受け取りやすかったんだと思う。それと自力で読まないと進まない文章と違って、映画は多少理解が曖昧でも話が進んでるのはわかるので。
原作では人物に魅力を感じることができなかったのだけど(設定がすご過ぎて感情移入できないせいか)、動いて声を発しているのを見たら結構すんなり「かっこいいな」とか「可愛いな」とか思えて、あまつさえ3章の藤乃や4章の式なんかに切なさを感じたりもしたので、結局のところ1番の難関はあの文章だったのだということに。黒桐と式の恋物語として見るといいのかもしれない。アイスのエピソードや、皮のジャンパーを買う辺りなんか可愛かった。
各章ごとに主題歌がきちんと作ってあるのがいい。全体的に音楽が好みだった。アクションシーンは1章より3章。1章は背景がなんだかすごかった。全部あわせてひとつの物語なんで優劣に意味はないですが、3章が中でも比較的好き。