川上弘美「神様」

神様

神様

大学時代に川上弘美を読んだときは、あまり好きだと思わなかった。それまで読んだ本とは全く違っていて、その空気に馴染めなかった。でもいつの間にかこれがクセになる。かしこまった語り口や、決して描きすぎない文章に惹かれる。川上弘美の小説を読んでいると、普段はあまり食べないものがすごく美味しそうに感じる。そら豆なんて絶対食べられないのに。
表題作『神様』と、続編にあたる『草上の昼食』が好き。でも『夏休み』で出てきたふしぎな生き物で、どうしても801ちゃんを想像してしまった自分の想像力の貧困さについては目を瞑ろうと思います。