「あしたの、喜多善男」

テレビドラマを観るのは、そういえば「優しい時間」以来。基本的にドラマというのに苦手意識が強いのであまり観ません。
前半は正直ちょっとつまらなくて、後半に入って三波の真の思惑が見えてきた辺りが1番面白かった。でも結局生きてた三波はその後の物語にはほとんど絡まないのが物足りない。ひと一人殺そうと企てて、自分の女に結婚までさせて、やっぱりやめたってなんだそれ。フィクションならばこそ、報いを受けるべきだろう。
と思ったけど、結局主題はそこではなくて、喜多善男がきちんと自分の境遇に向き合うというところにあったので、そういう点ではよかったと思う。喜多だけでなく、平太やみずほも、自分に向き合うことができたラストはよかった。最後の最後で喜多とみずほをどうまとめるかなあと思ったけれど、私はあの終わりでよかったと思う。最後に2人が抱擁を交わして、なんて展開になったらすごく嘘くさくなってしまっただろうし、みずほが喜多を「抱きしめてあげなきゃ」と思えた時点でもう、喜多は大丈夫だろうと。平太とリカの別れも同様に、きちんと収まった感があった。結局は釈放されたとはいえ、リカが喜多の母親を騙して口座を作ったのは事実なのだし、結局は必死に喜多を助けた平太とは一緒にいられないだろうと。
自分で蒔いた種とはいえ、1番報いを受けたのはしのぶかな。でも彼女が意外にもとてもよかった。
名脇役小日向文世を主役に、テレビドラマには滅多に出てこない松田龍平が準主役っていう点だけで画期的。全体に上手なひとで手堅く固めてあって安心して見られた。松田龍平はずっと、あんまり喋らない方がいい俳優(台詞回しが怪しいので…)と思っていたけど、こういうの結構ハマるんだなあ。