「蟹工船」

小林多喜二の書いた原作を読んでいない。だからそこにどれだけの過酷な労働が描かれているかは知らない。確実にこの映画のレベルではないとは思う。
単純な青春映画として捉えれば悪くないとは思う。現状に妥協してしまった若者たちが、その現状を変えるために団結して立ち上がる。現状を打破する青春映画。労働云々を考慮すると物足りなくなるし、ひとによっては腹を立てることになる。
つまり原作が「蟹工船」である必要がないってことになるんだけど…。
テーマを言葉で伝える映画は基本的にあまり好きではないのだけど、ここまで全部言葉で言ってしまうといっそわかりやすくて爽快だったので、自分はこの映画が結構好きだったりする。現状に満足するな!やらなければ何も変わらない!っていうメッセージ自体は普遍のもの。
松田龍平のファンのくせに言うのもなんだけど、台詞回しが下手だった彼がここ数年の作品でかなり健闘していて、今作の演説シーンも見事にこなしていたのが嬉しかった。張り上げているけど、どことなく力の抜けた感じがいい。